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「スタッフエンジニア マネジメントを超えるリーダーシップ」を読んだ

スタッフエンジニアを読んだので、感想を少し書いておきます。

まとめでいうと、すでにDevelopers IOなどにもあるので、今回は感想をメインに書きます。

dev.classmethod.jp

若干批判的なことも書いた感じになっちゃいましたが、総じて良書だと思っています。

シニアエンジニアやマネージャ以上で、キャリアについて考えている人向け

まず、この書籍の対象は、シニアエンジニア、マネジメント職、すでにスタッフエンジニアである人が対象になると思います。

正直、新卒エンジニアが読んでも、マネジメント以外のキャリアとしてそういうものがある程度になってしまう可能性は高いのではないか、と思いました。少なくとも自分は、新卒数年程度の時期に読んでも間違いなくピンと来なかったと思います。

表表紙のオビだけ見ると、ちょっと騙されるかも…

表表紙のオビには「管理職にならずに活躍し続ける 最強のソフトウェアエンジニアへ」と書かれています。

一般的にどうかわかりませんが、最初パッとみたときに、個人的には「管理職にならない」ということで、いわゆる技術特化でコードを書き続けるであったりを想像してしまっていました。

しかし、よく見ると、上部の「マネージメントを超えるリーダーシップ」や、背表紙側のオビの「テクニカルリーダーシップでチームを率いて組織に貢献するスタッフエンジニアになるには?」とあります。このあたりからは、そうした職業を指していないことがなんとなく想像できます。

「スタッフエンジニア」というのがどういう職業を指すか知らなかったので、最初のイメージとは違ったというのが本音です。

すでにシニア以上の役職なら第一部から、そうじゃないなら第二部をつまんでから第一部を読むのが良さそう

第一部は「スタッフエンジニア」(およびスタッフエンジニア以上の職を含めた「スタッフプラスエンジニア」)とはなにか、そしてスタッフエンジニアがどのように仕事をするかが書かれています。

とはいえ、シニア以上のエンジニア経験がない場合、わりとイメージが湧きにくいのと同時に、マネジメントとの差異がわかりにくいのではないか、という気がします。正直迷子になるように思えます。

一方、シニア以上の経験があると、多少なりとも事業レベルの判断を求められたり、大規模プロジェクトの中核として説明やチームのリードを求められた経験から理解しやすいのではないかと思います。

一方、将来を見据えてジュニアクラスのエンジニアが読む場合、第一部はマネジメントとの違いなどがよくわからないかもしれません。第二部の実際のスタッフエンジニアのインタビューから、具体的な仕事を読んでみてからのほうが良いかもしれません。

マネジメントをしたくないエンジニアがしがみつく先ではない

個人的に、これまでほぼなかったキャリアパスが書籍化されたことにすごく価値を感じたのと同時に、その本に複数の実在のエンジニアのインタビューがあることで、現実のキャリアとしてイメージしやすくなっていると思います。

ただ、キャリアラダーとして、マネージャ vs スタッフエンジニア の構図になると、マネージャになりたくないエンジニアはスタッフエンジニアになるべきだ、という話になってしまいそうで、それも違うんだろうなという印象です。

また、企業としても、このキャリアラダーありきで導入されてしまうと、おそらく失敗するのだろうと思います。 どちらかといえば「中長期的にどのようなエンジニアが必要なのか」「特定の事業と技術をつなぐ専属の上級エンジニアが必要になるのか」みたいなところの答えとして、スタッフエンジニアが適切なら導入すべきで、そうでない場面ではマネジメント職とシニアエンジニア(一部テックリード)で良いとなるのではないかというイメージです。

インタビューの内容など、端々で参考になることがある

インタビュー内容で、考え方や、どのようなアドバイスが役に立ったかなどの話も非常に興味深かったです。

「インポスター症候群」という単語を複数の方が使っていたこと、内向的で自分から積極的に人とのつながりを作りに行けないからこうしているといったことなども個人的には共感でき、面白い点でした。

何でもこなせるスーパープレイヤーではなく、長所も短所もある人間として、うまく長所を活かしてスタッフエンジニアをしているというのが垣間見えます。

まとめ

個人的には、シニアエンジニアとして仕事をしている最中で、マネジメント職以外のキャリアラダーに対して明確に解説していて、めっちゃ熱い本です。

またインタビュー部分もシニア以上のエンジニアとしての成長や、キャリアの積みかたとしての知見があり、その点も非常に良かったです。

全エンジニア向け、と言える内容ではないものの、キャリアに悩んでいるなら読んでみても良いのではないかと思います。