「そのビジネス、経済学でスケールできます。」という本を読んだのでまとめを書いておきます。
「ビジネスのアイデア」がスケールしないパターン
偽陽性
初期データでは成功を示していたが、スケールすると全体には適用できないパターン。
- 初期の調査対象が母集団全体を代表していない
- 確証バイアスにより「成功するパターン」ばかりを確認してしまう
- バンドワゴン・バイアスにより、声高な信頼を勝ち取った人に大勢が同調してしまう
対象者を過大評価していないか
初期にアイデアを受け入れた顧客の持つ特性が、スケールアップした際の全体と同じではないことがある。
スケールアップしたあとの顧客(将来の顧客)のニーズを適切に考慮する必要がある。
大規模には再現できない特殊要素はないか
アイデアが初期に成功したときに必要な条件を適切に把握していないと、大規模に展開したときにアイデアの成功する前提が崩れ、失敗してしまう。
交渉不可能なリソースがスケールアップできなければ、大規模に成功することはできない。
ネガティブなスピルオーバーはないか
ある出来事や結果が、意図しない影響を及ぼすことをスピルオーバーと呼ぶ。
たとえば、保険の加入者が保険の非加入者よりもリスクの高い行動をとる現象である「モラルハザード」も同様である。
ただし、スピルオーバーは常にネガティブな影響を生むわけではなく、ポジティブな影響を与えることもある。
コストがかかりすぎないか
大量生産においては、スケールアップすると、商品一つあたりの生産コストが下がる、規模の経済(Economies of Scale)が適用される。
しかし、生産に不可欠なリソースが稀少であったり入手困難な場合がある。
そのような場合は、初期はリソースを入手できていても、スケールアップするときに調達コストがかかるようになってしまい、コストが大幅に上昇してしまう可能性がある。
最大の効果をもたらす4つの方法
スケールするインセンティブを使う
適切なインセンティブは、人々のやる気を高め、共通の目標を目指すための唯一つの大事なことである。
インセンティブでは、人間の「社会性」「損失回避」の傾向を活用するのがよい。
「限界革命」を導入する
限界効用(あるモノやサービスを追加で消費したときの満足度の増加分)を考慮する。
例えば、3個目のドーナツは、1個目のドーナツより満足度が下がる。
また、サンクコスト(すでに使ってしまったカネや時間)を無視する、または無視するような仕組みを導入する。
例えば、担当者を一定期間ごとに入れ替えてしまうなどがある。
やめるが勝ち
望みのない(低ボルテージな)アイデアに固執しない。早期に撤退することで、稀少なリソースである時間を無駄にしない。
スケーリングの文化に変える
中小規模の企業で成功していた実力主義をそのままスケールアップすると失敗する。
協力と競争(コーペティション)のバランスが大事。