最近、チームでスクラムをやっていくにあたり、いくつかスクラムやLean関連の書籍を新規に読んだり、読み返したりしています。
その中で、発売時に読めていなかったLean UXを読んだので感想を書いておきます。
Lean UXへの理解
Lean UXは、UXデザインプロセスをLeanに進める方法を提供しています。
一方でプログラミング等のエンジニアの開発業務に対応した話は少ない印象です。 しかしながらUX自体、ほとんどのサービスやシステムの開発においては重要なウェイトを占めていることが多く、比率は違えどUXに対する検証や継続的な改善を行っていることも多いと思います。
その意味では、UXデザインプロセスがアジャイルになっていない状態で、開発がアジャイルであることはほとんどの場合ないのではないかと思います。
第一部の原則やアウトカムの説明を読んでみると、単なるUX以外の観点でも参考になる原則が書かれています。 例えば「『これまでと同じことを速くやる』のではなく、仕事の進め方を見直す」といった、一定安定している(ように見えている)と忘れてしまうような、そもそものプロセスやメンタルモデルに対する見直しなどもあります。
目的を忘れず、Leanにやる
UXデザインでも、開発でも、当初の目的を忘れ、必要以上に綺麗で装飾された見栄えの良い成果物を作ってしまうことがあります。例えば、最初から作り込まれたペルソナや、画面のデザイン、作るかもわからない機能まで考慮した複雑な設計とリッチな設計図などなどです。
本書では、プロトペルソナや、MVPやプロトタイピングの手法などを簡潔にトレードオフなども提示しながら説明しています。
また、紹介されているLean UX キャンバスを用いることで、当初の目的からLeanにプロセスを進めていくことができるようになっています。
実務に基づいている
本書のよさは、第18章などにもあるような、「実務に基づいている」点も挙げられると思います。
アジャイルやLeanなどの進め方として、「実験」や「学習」があります。とはいえ、「すでに十分にユーザーを理解している」と考えるステークホルダーからはこの点は理解を得にくい場合もあります。
そのような場合に対するアドバイスも18章などで行われています。これは著者が実際に活用し、そうした困難にぶつかった結果をフィードバックした内容が盛り込まれているからだと思います。
まとめ
本書は、Lean UXというUXデザインプロセスをLeanに進める方法を提供しています。
Leanな原則、徹底したアウトカム志向、無駄を極力削ぎ落として学習を進めるという進め方は、UXデザインに直接かかわらない人でも刺激を受ける内容になっています。