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経営理論まとめ(市場競争の型と競争戦略)

何冊か経営学の書籍を読んだのでまとめていく。

経営理論のまとめ記事一覧

主に世界標準の経営理論を元にする。

市場競争の型

競争の型

競争の型 IO型 チェンバレン シュンペーター
前提のモデル 完全競争、完全独占 独占的競争 イノベーションなど
概要・戦略 規模の経済による参入阻止、差別化など。「ライバルとの厳しい競争を避ける」 製品・サービスの差別化、そのための経営資源保護・強化など。「価値があり、模倣されにくい経営資源の形成・活用で勝つ差別化をする」 不確実性への対応。「環境の変化に素早く柔軟に対応する」
主な理論 SCP RBV ダイナミック・ケイパビリティ、知の探索・深化理論

完全競争と完全独占

完全競争:全く儲からない競争状態
完全独占:1社で価格コントロール、他社が新規参入できない状態

完全競争の条件
① 市場に無数の小さな企業があり、どの企業も市場価格に影響を与えられない
② 市場への新規参入・撤退への障壁がない
③ 企業間で差別化されていない
④ 製品・サービスを作るための経営資源(技術・人材など)が他企業に障壁なく移動できる
⑤ ある企業の製品・サービスの完全な情報を、顧客・同業他社が持っている

完全独占の条件
完全競争の①、②、③ の条件の真逆を満たす場合

寡占:独占に近い状態。少数の企業に売上が集中している状態

ダイナミック・ケイパビリティ

ケイパビリティ:企業が様々なリソースを組み合わせ直す能力
ダイナミック・ケイパビリティ:企業が絶えず、様々なリソースを組み合わせ直すプロセス

  • ダイナミック・ケイパビリティは、稼ぎ頭を変えるために必要になるような能力
  • 既存事業での収益確保能力は、オペレーション・ケイパビリティと呼ぶ

知の探索・知の深化

組織学習の循環
① サーチ(知の探索):組織、人が行動し、経験をする。認知を広げる
② 新たな知の獲得:知の創造(SECIモデル)、知の移転、代理経
③ 記憶:知の保存、知の引き出し

知の探索:新しい知を求める
知の深化:今持っている知をそのまま活用する

  • 短期的な収益性では知の探索より知の深化のほうが有効
  • イノベーションなど環境変化に対する柔軟性は、知の探索による中長期的な認知の拡大が必要
  • 短期的な収益性やリスクを重視し、知の探索より知の深化に偏り、中長期的なイノベーションの枯渇を生むことを「コンピテンシー・トラップ」と呼ぶ

知の探索における2種類の成果

  • ほどほどの探索 => 技術的なブレイクスルーなアイディア
  • 広範な探索 => (経済的な)価値を生み出すアイディア
  • 最終的には「経済的な価値を生み出す」ことが重要だが、その実現のため「技術的なブレイクスルー」も重要

レッドクイーン理論

元は生物学の生存競争における共進化メカニズム
『ウサギはキツネに捕まらないようにキツネより足が早くなるように進化し、するとキツネはウサギを捕まえるためにウサギより足を早くなるように進化する』

企業間での共進化
① 競合を学習(サーチ)、進化する
② 自社の業績が上がる(競合の業績は下がる)
③ 自社の満足度が上がる(サーチに対する意欲が下がる)
④ 競合は業績が下がることで、満足度が下がる(サーチに対する意欲が高まる)
⑤ 競合が自社を学習(サーチ)、進化する ⑥ 競合の業績が上がる(自社の業績は下がる) ⑦ 自社の業績が下がることで、満足度が下がる(サーチに対する意欲が上がる) 以降、ループする

レッドクイーン理論の適用

  • ライバルとの切磋琢磨により、その領域における生存確率を高める(競争による共進化プロセス)
  • ただし、競合の過度なベンチマークは知の深化によるスパイラルに陥り、新規参入等の環境変化に対応できなくなる(コンピテンシー・トラップ)

新規参入が少なく、比較的安定的な業界:レッドクイーン的な競合の学習・追従が有効
新規参入が多く、非安定的な業界:既存事業に関しては競合の学習をしつつも、製品・サービスの差別化、イノベーションを追求する必要がある

戦略アプローチ

① 成長事業の発見、成長事業の見極め:ポジショニングアプローチ(SCP)
② 勝ち筋、ビジネスモデル設計:RBV
③ 環境変化への対応:イノベーション(ダイナミック・ケイパビリティ、知の探索)

両利きの経営:既存事業での収益を確保しつつ、外に目を向けて新しい知識・経営資源を獲得して既存・新規事業のバランスを確保する