What is it, naokirin?

行動を変えるデザイン 読書記録 感想

「行動を変えるデザイン」を読みおえたので、感想を最後に残しておく

前回の記事
行動を変えるデザイン 読書記録(第5部 第12章〜第14章) - What is it, naokirin?

前提として

前提として、リーンなどのような顧客起点なプロセスでプロダクトデザインを進める点がある。
これは最近ではサービスの成功におけるスタンダードなやり方と認知されていると思うので、問題は少ないと思う。ただこれらがこの書籍の全体を通したやり方になるので、それが合わないという人には向いていない。

あとは新たなサービスの創出よりも、目的を達成するプロダクトデザインの構築、改善であるという点は、その他プロダクトデザインプロセスの書籍と大きく差はない。 新しいサービス自体の着想を得るというものではないので、そうした発想よりも行動心理学などをもとにした形式化されたプロダクトデザインに対するプロセスの解説をしている書籍と理解するほうがよいかと思う。

書籍の読み方について

前から読んでいくと、プロセス全体の形式知については理解できるが、それを実践としてどう使っていくかの想像がしにくいと感じた。 第15章は実際の実践における各フェーズの実践方法の例が示されているため、ここを適宜先に読むと理解しやすいように思う(ただし、前提として15章より前に定義されている単語が使われているため、単に15章を通しで先に読んでも理解しにくいとは思われる)。

また16章は全体のまとめになっていて、かなりわかりやすくまとまっているため、全体をさらっと理解してから読み始めたい人は、第16章に目を通す -> 最初から読む、とするのがおすすめかもしれない。

かいつまんでの感想

リーンなプロセスなどはプロダクトデザインや開発のプロセスに興味があれば他の書籍でも知っている部分があり、どちらかといえばこの書籍ではいわゆる「行動心理学」が役立ちそうだが、プロダクトにどう活かせばよいかわからない、を解決することに興味があって読んだ。
そのため、そうした点を重点的に読んだ。

CREATEアクションファネル

全体を通して特に整理されている1つがこのCREATEアクションファネルだったと思う。顧客に対して、なにが離脱点になるか・なっているかを整理できる(逆に今うまくいっている点を見出し、それを壊さないということにも使える)。

各CREATEアクションファネルのフェーズごとの心理学的見地での戦略について

これは第10章にまとまっている。CREATEアクションファネルからどのフェーズで離脱しているかわかったあとに、どのような戦略を取るかについて考えるならこの章を読み返すと良さそうだった。

なんにせよ顧客理解

顧客理解が何にせよ重要だということが再認識できる書籍だった。顧客理解は組織、チーム内だけのサービスをこうしたい案を作るよりも手間がかかるが、サービスの質を適切に高めるためには必須で、どんなに一般化された心理学的な応用をしようとしても、顧客の状況によって適用できるかは様々だということである。

最後に

これまでプロダクトに対して行動心理学等を適用するというのはあまり見たことがなくその点では非常に面白い書籍だった。
特にCREATEアクションファネルによる整理、戦略の構築は、顧客理解の上でにはなるが、かなり利用できそうに感じた。

一方でチャレンジングな部分も多いのか、「結果的にできている」プロダクトの例は多かったが「プロセスに従った結果できた」プロダクトがやや見えない点が多かった。この形式化されたプロセスを適用した例がほぼなかったのは少々残念ではあった。

総じて、どうプロダクトデザインを考え、開発するかについては、ユーザー理解の重要性の把握や、新しい視点で進められるようになるという点ではかなりおすすめできる書籍かと思う。