前回、等価原理について簡単に説明を書いたので、それを使うと特殊相対論の範囲で「計量」という空間の幾何学的性質を議論できることをやっていこうと思う。
等価原理は、重力と加速度系の見かけの力が本質的に区別できないということだった。
では一般の重力場でも、適当な座標系をとれば、局所的な1点では無重力状態、つまり特殊相対論の枠組みで議論ができるのではないだろうか。
では、この座標系を局所Lorentz系と呼ぶことにして、この系について議論しよう。
局所Lorentz系をS'系として、このS系から無重力に見える微小空間Ωを考える。
ここで一般的な座標系Sからみた同じ2点をxとx+Δxとすると、それらとx'、x'+Δx'との関係は
である。すると次のような式が書けるということに気づく。
もちろんS→S'の変換はいまだ議論はしていない(さらに一般にLorentz変換ではない)。重力が存在しない場合はであった。それが重力が存在している系ではとなるのである。
このがのちに重力場の様子を表す10個の関数ということが分かる。そのため、Einsteinの重力ポテンシャルと呼ばれる。また幾何学では計量テンソルと呼ばれる。
もっと一般的には
のようになるが、これは距離の定義であるといえる。このような距離の定義を行う幾何学をRiemann幾何学という。
という感じで次からRiemann空間でのテンソルについてのお話へ。