答えがあるわけじゃないです。私も考え中です。
つまりここでは一般人に『分かりやすく』教える事を目的にしていません。
ちなみに標準理論というのは現在、素粒子の理論の中でももっとも成功していると言える理論です。実験的にも非常にいろいろな検証がなされていて、それとよく一致している事も確認されています。
ここ最近、Higgs boson "らしき"ものが見つかったという話で、非常に盛り上がっています。
ここで"らしき"といっているのは、まだ実際にまさに見つかった粒子がHiggsであるとは発表されていないからです。
おそらくHiggsであるとは言われています。で、このHiggs。特殊な上に非常に分かりにくいものです。
標準理論のなかでも特殊で、相互作用しているボソンではあるのですが、ゲージ場ではありません。(ちなみに大抵の場合、素粒子物理学では場と粒子というのはほとんど同じものです。)ゲージ場というのは、標準理論では電磁相互作用、弱い相互作用、強い相互作用を媒介する場です。理論的にはゲージ原理から現れる場です。
質量の起源と言われているHiggsですがHiggsとの相互作用そのものが質量の起源になっているわけでなく、(低エネルギーで)対称性の自発的な破れが起こる事が質量の起源になっています。
この『自発的対称性の破れ』は、南部さんがノーベル賞を受賞されたときのあの自発的対称性の破れと理論的に同じです。これが本質である以上、自発的対称性の破れによって質量が現れることを説明しなければいけないのです。ですが、これが非常に難しいのです。
正直、南部さんがノーベル賞を受賞されたときも、全くといっていいほど一般向けの解説がなかった気がします。理論的側面からのみ理解できるといってもいいくらいのものです。
だから正確に、かつ一般の人に分かりやすい言葉には直しにくい。(一般向けには水飴等の話もありますが、実際に質量を与えるというメカニズム自体は対称性の自発的破れから来ています。つまり、自発的破れがちゃんと説明されているものでなければ、誤解を含む内容となってしまいます。)
小一時間語り続けていいのなら、ある程度の説明は出来るかもしれません。(量子力学の簡単な説明、場の量子論と素粒子の簡単な説明、そしてHiggsについて)。ただ簡潔にと言われると難しい感じがします。
面白い話なので、なにかしらうまく説明できる方法があるなら聞いてみたいものです。
追記:
まあ、そもそも物理って、量子力学あたりからは直感的理解の枠組みを超えていたりします。
ミクロな観測から導きだされた結果をもとに、理論構築をしているのですが、ミクロな現象は基本的には直感的理解とはほど遠い。
例えば、ミクロな領域では電子は波と粒子の両方の性質を持つ、とか。
我々が日常目の当たりにする現象には、基本的に存在し得ない性質と言っていいと思います。
これをどんどん突き詰めて行っているのが素粒子物理学。そしてその中で理論構築上、存在していてほしいのがHiggs。
難しいんです。。。もう少し詳しく書けるようにちょっと整理してから、もう少し理論的な観点で書き残しておこうかな。。。一般向けではもちろんなくなるけれど。